Mikey February(マイキー・フェブラリー)は、どんな波も素晴らしく器用に乗りこなし、スタイリッシュなサーフスタイルで有名です。
彼はWSLでQSとCTの経験をショートボードサーフィンのパフォーマンス向上に注力。常に高いレベルでライディングする事を追求しました。
現在はコンテストシーンから少し離れ活動をしていますが、フリーサーファーとして活躍する彼は、実は非常に柔軟な考えの持ち主で、今もなお様々なスタイルのサーフィンに積極的に挑戦し続けています。
その彼の数年分の経験が活かされ、ブリット・メリックと開発したモデルが“Twin Pin”です。
しかし、彼の創造性はショートボードに限定される事だけではなく、ロングボードからミッドレングスまで幅広いサーフボードに携わっています。
そこでマイキー本人に、どのようにミッドレングスにアプローチし、乗りこなす為に何を意識したら良いかを直接尋ねました。
CI: この1、2年ミッドレングスに乗っている姿をよく見かけましたが、どういったコンディションの時に乗っているんですか?
マイキー(以下マ): 主にポイントブレークで、大きな波であまり掘れ過ぎてない時にミッドレングスに乗ってますね。ただ一つ言っておきたいのはミッドレングスはチューブライドにも調子良いんです。
ソフトでメロウな波は大抵、面も大きく動き回るスペースが広く取れるので、長めのレールが活きてきます。
ビーチブレークではCI Midも乗っていますが、短い間隔で波が立ってる時に使用する場合が多いですね。
この場合、僕はアタマサイズか、それ以上の大きな波を狙ってる時が多いのですが、それより少し小さい波に対しても乗り方を変えれば調子が良いですよ。
ライディングの際のアドバイスとしては、小さなスペースに対し、長いレールがある点を常に意識する事ですね。
限られたスペースに対して、自分が取れる動きを事前にイメージしておく事がこのサーフボードを上手く乗りこなすコツです。
ただ、波質や場所に関わらず、いつどこでミッドレングスを乗るかは、結局は自分が『いつもと違った事をしたい』と思った時でいいと思います。
CI: パフォーマンス重視のショートボードからミットレングスに簡単に移行できたように見えますが、長さに対してはどのように対応したんですか?
マ: 自分の意識の持ち方による部分が大きいですね。リラックスしたクルージングを楽しみたい時にミッドレングスに乗っています。ショートボードみたいに乗ろうとは思っていません。
Two HappyやTwin Pin等のショートボードに乗る時はタイトでクイックなターン等、パフォーマンスを意識していますが、ミッドレングスに乗る時はレールも長く、足元にもボリュームが有るため余裕を持った操作が必要となってきます。
なのでタイミングも全く違うんです。ショートボードに乗っている時のような鋭いターンをしたいというアグレッシブさを抑える必要があります。
クルーザーに乗っているという意識を常に持っていないとボードと喧嘩する事になり、残念な結果になるでしょう。
CI: このジャンルのボードデザインと接して一番驚いた事は何ですか?
マ: 僕も含めてだけど、恐らく多くの人はミッドレングスに乗る事は一種の『逃げ』や『後退』と捉えてると思うんだ。スローだし真っ直ぐしか乗れない印象だからね。
多分シェイパーやデザインにもよると思うけど、僕が最初に乗った板は思った以上に速く、レスポンスも良かった。僕の6’10” 2+1はドライブもし易く、乗ろうとしたどんな波にも対応してくれましたね。
ショートボードみたいに鋭いターンやエアー系はできませんが、ショートボードと似た感覚を随所に感じる事ができます。
ドライブもし易く、ホールドもしてくれます。普段乗っているボードより1フットも長いレールがある事を考えれば、サーフボードの反応は驚く程良いです。
最近ではどこにサーフトリップするにもミッドレングスを持って行くようにしてます。必ずミッドレングスが最適な場所とタイミングがありますからね。
CI: ミッドレングスを乗っていて何か学んだ事はありますか?
マ: リップのすぐ下にある面等、普段ショートボードでは味わう事の出来なかった波の新たなゾーンをサーフィンできた事ですね。これにより波の点と点を全く異なる方法で繋ぐ事ができるようになりました。
この1、2年でコンスタントにミッドレングスに乗るようになってから、サーフィンの新たな楽しみ方が増えた感じです。
長いラインをじっくり探ったりアプローチのタイミングを学び直す事以外にも、ショートボードよりスウィートスポットが広いのでライディング中に足の位置を変えたり全ての面を楽しんでいます。
足の位置を前後に動かす事で必要な時に加速できたり、ターンの仕方も変わってくるんです。これにより普段ショートボードでは体験できない位置からのターンのバリエーションも増やす事ができました。
ライディング中の小さな違いを発見できるのは本当に面白い事ですよ。特に人生の大半をショートボードに費やし、ツアーで活躍する事を目指して来てたような人にはね。
自分とは対極に位置していた物を知り、理解する事はとてもエキサイティングな事だと思います。