SURFBOARD BUILDING

ワールドタイトルを21回獲得するという経歴がありながら、現在のチャンピオンシップツアー内でもライダーが徐々に増えていっているチャネルアイランズサーフボード(CI)は世界最高のサーフボードブランドと言っても過言ではないでしょう。

1969年にカリフォルニア・カーペンテリア市にあるメリック家が実家にてブランドを設立し、その後サンタバーバラ市を拠点として稼働を始めたCIは実に奥ゆかしい始まりでした。設立から50年以上たった今現在、CI本社そして工場は原点であるカーペンテリアにあり、『海岸の女王』と呼ばれる世界的に有名なポイント、リンコンからほんの数分で辿り着けるロケーションをホームとして活動を続けています。

それでは、CIが長年にわたり成功しつづける秘訣とは何なんでしょう?
それは世界一のサーファーの為に最高なサーフボートを作るというビジョンへ対しての熱意と言えるでしょう。
チャネルアイランズでは主にライダーがデザインへ貢献をしています。
アイデアの原点からモデル開発時まで、ライダーがデザインをインスパイアし、常に高みを追求しています。
ワールドタイトルを狙う選手の為にサーフボードをデザインするにも、Stab in the Darkの様な企画で優勝するようなデザインを手がけるにも、最高のサーフィンを可能としてくれるサーフボードを作る事が常に目的です。

しかし、人気デザインの開発と並びサーフボード作りにおいて重要なポイントは他にもあります。
それは一本、一本の生産へ対する心遣いと材料の品質。

『サーフボード作りが与えてくれる体験、サーフボード作りという芸術、クラフトマンシップ、そしてサーフボードが人々にもたらす喜び、その全てが大好きなんだ。』とチャネルアイランズのCEOとヘッドシェイパーという立ち位置にいるブリット・メリックが語る。
『材料を直接感じ取りながら、愛を込めて、手でサーフボード作りをするその体感が最高なんだ。』

このサーフボード作りへ対しての熱意は工場内でも感じられます。
シェイパーから、ラミネーター、サンダーまで、生産チームの一人一人にこの想いが共通されている事が現場にいると伝わってきます。

今回はCIブランドのファンの皆様ともこの想いを共有してもらいたいため、チャネルアイランズによる一本のハンドメイドサーフボードの生産過程を開示します!

BLANKS(ブランクス)

板のフォーム。サーフボードの中核。
チャネルアイランズで制作されるPUサーフボードは全てこの”ブランクス”からの始まりとなります。
基本的には、木製のストリンガーが同型のフォームに挟まれて接着されているものをブランクスと呼びます。
そこからマシンでカッティングされ、ハンドシェイプフィニッシュされたものがサーフボードとして完成されていきます。
US BLANKSなど、世界的に信頼されているブランクス業者のみと長年パートナーシップを保つ事により、耐久性が高く、生き生きとしたサーフボードを安定して供給することができると信じています。
供給先やパートナーシップにこだわる事により、だれもが知るチャネルアイランズの品質感を提供する事が可能とされます。

MILLING(ミリング)

航空宇宙工学や医療工学などで使用されているCNCテクノロジーをチャネルアイランズで採用するに事により生のフォームブランクスを事前にプログラムされたデザインとスペックに正確にカッティングする事が可能とされます。
デザインプログラムと3Dカッティングを使用する事によって消費者が参照できる『スタンダード』スペックをなんども再現できます。
この正確なミリングにより、オーストラリア、バリ、ヨーロッパなどにてグローバル生産パートナーによって製造されたスタンダードモデルはカリフォルニア本社で製造されたものと同じ形状、デザイン、パフォーマンスを備えていると言えるでしょう。

SHAPE(シェイプ)

サーフボードがどのように作られるのかを考えるとき、最初に思い浮かぶのはシェイパーではないでしょうか。
シェイプはサーフボード作りの長いプロセスの中で非常に重要な部分であり、最も注目される部分でもあります。
ブリット・メリックがブランドの先頭に立ち、CTサーファーを含む多くのトップアスリートと密にコミニケーションをとり、新いデザインを開発しています。
これらのデザインのグローバル生産を可能とさせる為に、世界各国に生産パートナーシップを築き、CIシェイピングチームを保っています。
スタンダードモデルは全てCNCを使用し正確にカッティングされていますが、カッティング後、水の流れを考慮しつつシェイパーが手で直接チューンしていく事は不可欠であり、機械のみでは決して再現できないものが完成します。
開発、カスタマイズ、チューンなどはシェイピング時点で全て行われます。
一本、一本のサーフボードを唯一無二の芸術品として仕上げるのはシェイパーであると言えるでしょう。

GLASSING(グラッシング)

サーフボードの製造工程において最も過小評価されているのは、グラッシングと言えるのではないでしょうか?
単純に言えば、サーフボードのグラッシングとは、デッキ面とボトム面のフォームをファイバーグラスで覆い、樹脂をクロス面に流し込み固める事により、サーフボードが滑らか及び丈夫に仕上がります。
グラッシングは全て繊細な手作業で行われ、優れた職人によるグラッシングはサーフボードには耐久性と活気が施されます。
そしてサーフボードによくあるディケールはグラシング前に一枚、一枚綺麗に切り取られ、ボード上正確に配置されています。
チャネルアイランズでは、ストックボードからカスタムオーダー、WCTイベント用のチームボードまであらゆる作業を行う経験豊富な社員グラッサーだけでなく、長年提携してきたさまざまな老舗グラッシング工場とのパートナーシップを誇り高く思っています。

当社では、お客様がカスタム サーフボードの耐久性とパフォーマンスを選択する際に参照できるように、標準化されたグラッシング スケジュールを用意しています:

ULTRA LIGHT(ウルトラライト)
ULTRA LIGHTは 6’4″ 以下のショートボードの基準


・デッキ面4ozクロスを二層
・ボトム面4ozクロスをー層
・ハイパフォーマンスグラッシングの基準
・パフォーマンス重視で軽量ながら耐久性にも優れる

ULTRA LIGHTはショートボードのスタンダードスケジュールであり、パフォーマンス性と耐久性の最高のバランスがとれている仕上がりとなっています。
今では基準として展開されていますが、80年代では『スタンダード』というグラッシングが基準として使用されていました。
当時、チームはパフォーマンス性を求めていた為、デッキ面のクロス重量を削減してみました。結果的に、軽量でより反応性の高い仕上がりとなり、『ウルトラライト』と呼ばれるようになりました。
その後、パフォーマンス重視のウルトラライトでも素晴らしい耐久性が見受けられる事に気づき、それ以来ハイパフォーマンスボードのグラッシング基準はULTRA LIGHTとなりました。

STANDARD(スタンダード)
スタンダードグラスは 6’5″ 以上のショートボードの基準


・デッキ面6ozクロスを一層
・デッキ面4ozクロスを一層
・ボトム面4ozクロスをー層
・耐久性が高く、中程度の重量

スタンダードグラスは名の通り長年当社のスタンダードでした。
パフォーマンス性はもちろん、より丈夫に仕上がっており、ステップアップなどパワーやサイズのある波に対して最適なグラッシングスケジュールです。
社員の中には、最も軽量であるEPS/EPOXY構造へ更なる耐久性を求めSpinetekをスタンダードグラスでカスタムオーダーする事もあります!

GUN(ガン)
パフォーマンスボードの中で最も丈夫なグラッシングスケジュールは7’2″以上のショートボードの基準


・デッキ面6ozクロスを一層
・デッキ面4ozクロスを一層
・ボトム面6ozクロスをー層
・最も耐久性の高い仕上がり

その名の通り、ガングラスは本格的にサイズやパワーがある波が考慮される際、使用されます。
テイクオフをメイクし、ラインをキープする事、または大波でワイプアウト後サーフボードが折れていない事が優先されるようなコンディションの際、ガングラスは信頼できる仕上がりとなっています。
また、サーフボードの瞬間的な反応よりかは、フロー感やスムーズなライン取りが意識される
CI Midなどのミッドレンクスモデルなども同様のグラッシングスケジュールが採用されています。

SANDING(サンディング)

おそらく、グラッシングと同じほど過小評価されがちなのは、サンディングではないでしょうか?
サンディングはサーフボード制作工程におき、最後のステップとなります。
道具は使うものの、完全に手作業であるサンディングは、かなりきびしい肉体労働作業でありながら、サンダーの作業は基本的にファイバークロスと樹脂のホコリまみれになりつつ、小さな部屋で行われます。また、一度限りのサンディングで綺麗なサーフボードが完成と想像される事もありますが、実際、チャネルアイランズのサーフボードは一本につき合計で5回サンディングされているのです。
一本のサーフボードの仕上がりが例として下記の通りになります:

(1) 120グリットでホットコート(グラッシングの最終ステップ)後のサーフボードを、元の形状にできる限り近くサンディング
その後、オーバーサンディングされた箇所がよくある為、その箇所のみレジンで修正
修正した箇所をサーフボード全体と馴染むように120グリットでサンディング
(2) ボード全体を150グリットで繊細にサンディング
(3) ボード全体を220グリットで繊細にサンディング
(4) ボード全体を320グリットで繊細にサンディング、水を使用して、より滑らかに仕上げる
(5) ボード全体をハンドパッドでバフ

これでやっと一本のサーフボードが完成します。
グラッシングもサンディングも繊細でありつつかなり厳しい肉体労働なので、アメリカのサーフボード工場などではよく、サンダーにビールを差し入れする文化があります。

QUALITY CONTROL(クオリティーコントロール)

サンディング後、サーフボード自体は完成しますが、工場から出荷されるまでにもう一段階ステップがあります。
当社で生産させれるサーフボード全て、一本一本、ノーズからテールまで欠陥がないよう確認されます。
このクオリティーコントロールを合格した本数のみ『完成』とみなされ、工場から正規ディーラー様へ、店内からサーファーの手元へ、そして最終的には初めての波でのライディングへと繋がります。

読者の皆さんが次回サーフボードをオーダーする際、今回紹介させて頂いた内容が好奇心と楽しみを刺激するような内容であった事を願います。
ブランドとして、当社は使用する素材から、生産プロセスまで、常に進化を試みていますが、伝統的な職人技が受け継がれていく事は決して変わりません。